中国人とのビジネス注意点ーその③ 賄賂
品質が良いだけでは勝てない
中国で製品を販売する日系企業の中には品質に絶対の自信をもっており、「品質は負けない!他社との競争に真っ向に勝負しても勝てる」と思っているところがありますが、製品にカラーテレビと白黒テレビくらいの明確な差がなければ単純に品質の良さだけでは勝てません!
ある中国系の化学工場で化学原料を送るポンプの購買の話です。その工場では韓国製のポンプを使っていましたが、化学原料に硫酸のような強酸性がありポンプがすぐに壊れていました。
以前は日系A社のポンプを使っており、特殊な耐腐食対応を施行してあり程度の期間通常に運転ができましたが、A社が生産を取りやめたため化学工場はたまたまPRに来た韓国企業に変更していたのです。
そこに日系A社の営業マンが生産を再開したとPRします。普通であれば実績のあるA社のポンプに戻すところですが、入札を経て再び韓国企業が受注獲得となりました。どうしてでしょか?
《 韓国企業はしっかりと購買担当及び決定権のある人間を見つけ出しにお礼を渡しているのです 》
中国が高度成長を続け今や都市部のホワイトカラーの給料は日本人に差し迫ってきています。
但し地方のブルーカラーの給料はまだまだ低く、2,000元~5,000元程度です。(34,000~85,000円)
一人の購買担当者の視点からこのポンプの購入を考えた時に、品質の悪いものを買っても購買担当個人に悪いことはありません。ポンプが壊れて修理するのは保守担当ですし、生産が止まって不利益を得るのは会社です。
ですが、本当に会社のためを思ってよい設備を購入し会社の利益に間接的に貢献したとしても特別ボーナスが支給されるわけでありません。
それであれば業者から小遣いをもらったほうが自分の利益になるというわけです。
日本人であらばプライドが許さないでしょう、また日本人は会社に対する忠誠心が格別に高いですし、元々の素養的にも背信行為はしない考えが根本にあります。
中国人は組織に対する忠誠心が弱い
私が中国についたばかりのころある格言を教わりました。
「一人の中国人は龍だが、沢山の中国人は砂だ」
中国人は人と協力はできないということを示しています、逆に日本人は一本の矢は折れるが三本の矢は折れないと思っています。
これらの性格はどのように形成されたのでしょうか。2つの理由があると考えられます。
①中国の歴史は複雑
中国の歴史は長く、その時々で多くの王朝が生まれ滅びていきました。
前の王朝時代では良しとされたことが、王朝が変わると刑罰を受ける事態がしばしば発生するのです。
例えば昭和から平成に変わったら法律が真逆になる。友人が敵に変わるといったことが起こるため、
長期的な信頼関係を気づくことが難しくどうしても短期的思考や利益を追い求めてしまうのです。
正直なぜ中国の紙幣に毛沢東が描かれているのか理解に苦しみますが、
毛沢東は多くの国民を死に追い込みました。
日本の経済が失われた10年であるならば、
毛沢東の文化大革命が中国にとっての失われた10年と言えるでしょう。
文化大革命の詳細はwikipediaを参照していただきますが、
文革よって数千万人が殺され、多くの知識ある青年が未来を絶たれ農村に追いやられ、多くの知識層が虐待を受け殺されました。この政治闘争が中国の良心をとことん傷付け人が人を信じられなくなる社会へと変化させ、後世に長く続く大きな傷を残しました。
この出来事が中国人全体の素養を著しくさげたのです。
話を賄賂に戻しますが、
賄賂を受ける社員が多いと当然企業は損をします。
別に賄賂受領者の気持ちを分かってやれとは思いませんし、
日本人と中国人ではDNAが違いますので一概には言えませんが、
仮に日本人の経済状況に例えば場合に、例えば家族がある30歳で給料が毎月手取り 150,000円、家のローンのあるし手元には一千も残らず生活は困窮。
将来の展望も何も見えないとなれば業者から何か得たい気持ちにもなるのかもしれません。
但し外資系企業などで待遇の良い会社(工場を含む)は給料も良く、社員も家も買えるし車も買える状況があり、そういった人間は賄賂をもらおうとはしません。
既にそんな後ろめいたことをする必要がない経済状態にあるうえ、会社にバレて解雇されるなどのリスクもあるためです。
結論
中国ビジネスにかかわる者として企業へのアドバイスをするとすれば、
「賄賂なしに中国ビジネスは語れない」ということです。
今後は社会や企業からの監視も厳しくなり、中間層が育つことから賄賂も徐々に減っていくとは思いますが、「郷に入っては郷に従え」という点も重視しなかければなりません。
賄賂はともかくとしても日本のやり方に固執して中国で事業展開をすると失敗します。
かつて日本の携帯や家電が衰退していったように。。。