中国は製品を作る工場から製品を売り込む市場に変貌を遂げる

生産する国から消費する国へ

1980年代半ばの対外政策開放から多くの企業が中国に工場を建て、低コストで製品を作り自国や海外に販売していましたが、

中国経済の発展に伴う人件費の増加でそうりしたメリットがなくなっており、そうした中国を工場と捉える企業の東南アジアへの移転が進んでいます。

その代わりに中国では経済発展の成果として富裕層・中間所得層が増えてきており、

「品質の確かな製品・安全性の信頼ができる製品・よりブランド力のある製品」への需要が増えてきており、今の中国人にはそれらを得るための購買力があり、

隣国である日本にとって新たなチャンスが訪れていると言えるでしょう。

これからは中国は「生産する国」ではなく「消費する国」になっていくのです。

良質な日本製品を売りたい人はたくさんいる

先日仕事で知り合った中国企業商社の社長から「日本のランドセルを売りたいがメーカーを知らないか?」と問い合わせをうけました。

まただいぶ以前から日本の化粧品・おむつなどの幼児用品はとても人気があります。

B to B 、B to C を問わず日本の良質な製品を中国国内で販売しようと考える人が増えていますし、製品を受け入れる中国側の需要も伸びています。

また今年は安倍総理が訪中したこともあり、これから数年間は日本製品をより販売しやすい環境が整っていくでしょう。

今月も中国初の国が主催する展示会「中国国際輸入博覧会」(China International Import Expo)が上海で開かれ、中国が対外的に開かれた市場であることをアピールしました。

正式には公開されていませんが、ここに視察にきた中国企業にはそれぞれ「一定額の契約を締結し海外製品を購入しなさい」という裏の指示があったようです。

日本から出展した友人も高額設備が6台も契約されたと驚いていました。

なぜ日本製が求められるのか

中国製は信用できない ⇒ 日本製は安全・安心・高品質

中国には品質の劣悪な偽物が多く、特に教育を受けていない層には拝金主義が蔓延しているため、

自分の利益のためなら人の健康や命を脅かしても気にしない考えの人が多く存在しています。

2008年のメラニン入り粉ミルク事件は日本でも有名になりましたし、今年の夏には予防接種ワクチンが効果のない偽物であることが発覚し世間を騒がせました。

中国では毎年大なり小なりこのような事件が発生しており、庶民はあらゆるものに対して根深い懐疑心があります。

このため経済的に余裕がある層はできだけ輸入品を購入しようとします。特に愛する子供のためには多少無理をしても費用は惜しみません。

中国では都市部の住民を中心に素養が上がってきていることも事実ですが、貧富の格差・能力の格差はすさまじく今後もこのような問題は続いていくでしょう。

不正を防ぐための監視体制強化

中国ではレストランでの食品の衛生管理問題が頻繁に取り上げられるため、お客さんが座る席から厨房の中の様子を随時撮影してテレビ画面で公開しています。

もちろん厨房をガラスで囲んで中の様子を見られるようにしているレストランも多いです。

また化学工場などでも内部にカメラを複数台設置して管理者が24時間中をみられるようにしています。

日本であればこれはあくまで安全管理のためですが、中国では従業員がさぼってないかを監視する目的が大きいです。

中国はこれだけ他人を信用するという考えがなく、不正を起こさせないための監視社会が浸透しています。

少し話は変わりますが、3年ほどまえから浸透しているQRコード決済も個人の決済情報が企業に送られ監視社会の強化に繋がっています。

より将来的には全国民が経済的なランク付けをされて、ランクが低いと飛行機に乗れないなど個人が国から制限をかせられるような社会になるとまで言われています。

 

中国の変化及び日本企業にとってのチャンスとは

多くの中国人は日本製品の品質と安全性に対する信用は非常に高いです。

また富裕層においては他社との差別化をして個性を主張するという意味で、富の象徴であり多くの中国人が所有するベンツ・アウディではなく、

レクサスを購入する人も増えてきています。

また物以外にも「極楽湯」など 体験を求めるコト消費に対する需要も増加しています。

B to B商品でもまだまだ中国企業には技術的に製造できないものが多数あり、日本にはその技術があります。

例えばですが、パソコンの中に入っている半導体はシリコンという物質で作られていますが、中国製のシリコンは純度が足りません。

この純度が少し高いだけで価格は何倍も変わるのです。

中国で優位性のある中国にはない商品や、中国にあっても信頼性で回る商品、人の健康に直結する薬や誰もが一番重要視する子供が食べるものなど、

しっかりと市場調査をすればかなり売れるであろう日本製品は沢山あります。

 

特にこれからの時代「健康」に関わる産業は市場が大きく膨らむと予測されており、サプリや健康食の販売、また保険業界は大きく販売を伸ばしています。

アリババのジャック・マーは「今後10年で癌が爆発(大量発生する)」と予測しており、特に富裕層は栄養や健康診断など医療など海外のものを求める考えが強いです。

上述の保険業界では日本でもおなじみの「MetLife」が海外の病院での治療費も補償するサービスを始めています。(※以前は中国国内の病院のみ対応)

 

日本企業で中国での販売拡大を目指している人は中国に出向き、まずは中国の現状を把握してください。

中国は超グローバル市場で世界中のあらゆる企業が進出しているため、競争は激しく日本しか知らない状況で来ても通用しない可能性があります。

展示会などを通して多くの中国人と会い、商社などと関係を築くことで自社の商品がどの程度優位性があるのか、またどんな商品が受け入れられやすいのか

調査し、同時に中国人ビジネスパートナーと友好な関係を築くようにしてください。

 

今日のこのテーマは今後伸びる業界の情報などが入るたびに更新を続けていきますが、今日はここまでとさせてもらいます。

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