中国進出のキーポイント 会社のトップは中国人にする
海外進出をしたことがない中小企業にとってグローバル市場への挑戦は大きな決断となるでしょう。
世間では中国の経済成長の減速やアメリカどの貿易戦争のニュースが騒がしくなっていますので、既存の中国進出業界の業績が悪化したり、今後新たに求めるサービスが生まれ今まで中国進出を考えなかった企業にチャンスが訪れることも大いにあるでしょう。これから中国進出を検討している・或いは進出したけれどうまく顧客開拓ができていないという企業向けに大事なポイントを書いてみます。
会社のトップ(総経理)は中国人にする
多くの日系企業が今でも正しい人事を行っていないのが現状ですが、中国現地法人のトップは必ず中国人にしてください。仮にあなた中国ビジネス10年のベテランであり中国語がペラペラであっても関係なく、中国のトップは中国人であるべきです。
《 中国人をトップにするべき5つの理由 》
①駐在員に中国人の考え方を深く理解することはできない
大多数の駐在員は会社から中国赴任を言い渡される前までずっと日本で勤務しています。 中国人の考え方やビジネス習慣は全く知りません。
駐在してからしばらくすると、だんだんと日本との違いが分かってきますが、何故そうするのか理解できませんし、場合によっては理解すらしたくないことが出てきます。 中国人にとっての常識は日本人にとっての常識とは異なるのです。
一例を挙げると「中国人は製品自体の品質で商品を選ぶのではなく、コネや自分個人のメリットで選ぶ」ということがあります。 仮にあなたの会社が作る製品は製造する上で技術的な難易度が高く中国メーカーには作れない高性能・高品質を達成しており、あなた自身も自社の製品に誇りを持っているとします。この状況下で「販売するにはワイロが必要です」と中国人社員に言われてもたぶん納得できないのではないでしょうか。
このように今まで海外に出たことのない人が異文化を理解し、それを許容するにはそれなりの時間がかかります。また時間がたっても許容できない事もあります。自分が考えを理解できない相手を管理したり・理解できない相手に対して営業活動をしても効果が低いのは言うまでもありません。
仮にあなたが海外ビジネスのベテランで異文化理解が進んでいれば、駐在初心者よりは良いと思いますが、それでもあなたの中国人理解は中国人には敵いません。。
②日本人駐在は所詮3~5年で帰任し後任者が赴任。コロコロ変わる。
私の周りの駐在員は2~5年で帰任する人が多く、少数ですが8年ほど赴任する人もいます。
これを現地の社員からすれば異常な環境に見受けられます。あなたが日本で努めている会社の社長が3年ごとに変わっていたらおかしいと思うでしょう。それと同じです。しかも駐在始めの1年2年はビギナー社長なのです。
まずあくまで短期の社長という状態であれば、経営者として会社を良くしていこうとする意欲を持ちにくいです。「5年いれば終わりだから、変なことしないでぼちぼちやればいい」と考えるかもしれません。
もちろん「限られた任期の中で結果をだそう」とする意欲のある駐在員もいるでしょうが、経営者たるもの長期目線での経営計画が必要です。
③現地社員の士気に影響。「日本人でないと昇進できない・重役に付けない」と思われる。
以前「中国人社員から見た日系企業の評価」で書きましたが、中国人にとって日本企業で不満の一つが中国人が役職者になりにくく、大手企業では総経理や部長はほぼ日本人で、中国人は課長止まりです。
これではその会社での発展余地がないと言えますし、仕事に意欲が湧きません。
逆に会社のトップである総経理を中国人にすることによって、「この会社は中国人を信じている会社」だと思われまので一般社員に与える影響が大きいのです。
④人は信頼され任された時により力を発揮する。
③と同じ内容ですが、人を信用し任せることが大事です。信頼できると思う中国人に出会えたら
是非その人の好きなようにやらせてあげてください。仮に日本人がいないと心配だと思うのであれば
日本人をつけること自体は反対しませんが、中国人トップの下に置くようにしてください。
また中国のトップに日本の経営者と同じビジョンを持ってもらい、会社の事業に責任を持つという意味で、中国法人の株をもたせて会社の実績に応じて給料に反映させるなども有効な方法です。
⑤お客さんとの関係構築は中国人同士が良い。
たまに日本人が客先に挨拶にいくくらいであれば良いですが、それはあくまで表敬訪問であって
日頃の関係構築は中国人でなければなりません。あなたの中国語がよほど上手ければ多少関係構築はしやすいですが、それでも同じ国同士の方がコミュニケーションが取りやすく遠慮無く要望を述べられます。仮に商品購入の代わりに見返りが欲しいお客さんがいたとしても、日本人にはそんなこと話しません。
《 補足 》
・もし中国人をトップにするのは信用出来なくて不安だと思うのであれば、お互いが目標を共有できる体制をつくることです。 例えば、サラリーマンと言えど会社のトップなのですから一部の株を持たせて自社の業績が所得に大きく結びつくようにするなど工夫すればよいのです。 ・中国人をトップにつけたなら、その後は口出しをせずに会社運営を任せてください。
少し古い記事ですが、DIAMOND ONLINEに実際に日系企業で働く中国人の談話が載っていました。日系企業の中国人幹部の本音を捉えたよい実例だと思いますので、是非一読ください。
まとめ
中国に進出している日本企業の半数はうまくいっていないと言われていますが、
過半数の企業は日本人をトップにしています。ここを変えるだけでも企業業績がだいぶ変わるのではないかと思っています。
既に進出している企業もこれから進出する企業もここをよく社内で議論して、よい人材を置けるようにしてください。