京都アニメーション事件から見る日本のアニメ・漫画の功績
年を追うごとに多数の死者を出す凶悪事件が増えており、悲しみと共に日本の将来を憂うばかりですが、
またしても悲劇が起きてしまいました。
被害に会われた方々の功績を称えるという意味で、
「日本のアニメや漫画の世界における貢献」について少しだけ書かせて頂ければと思います。
今回の悲劇に多くの人が悲しみにくれる中で、中国やフランスを始めとする海外からも多くの追悼の意が表され、
寄付金が集まっていることに驚かれている方も多いのではないでしょうか。
少なくとも会社規模としては小さな京都の企業での事件に何故ここまで海外から応援の声が届くのでしょうか。
漫画・アニメは外国人が日本への好感度を持つ日本最高の文化
日本人もそこまで知らないかもしれませんが、海外での日本漫画・アニメの人気は非常に高いのです。
私は日本の漫画家やアニメ作家が日中の平和にも大きく貢献していると考えていますし、必ずしも高給ではない職業で夢と熱意も持って働かれている方々に敬意を感じています。
特に日中間には過去の戦争という「しこり」がありますが、日本のアニメ・漫画が非常に非常に多くの中国人の日本に対するイメージを好転させており、日中友好の源の文化と言っても過言ではないと感じています。
日本語教師時代のアンケート
もう10年前ですが中国で日本語教師として勤務していた時に、学校主催で学生に「日本はどんな国・日本のイメージ」アンケートを行った際の回答はほぼ2つで、「経済大国」と「漫画・アニメが面白い」でした。
その後も個人的に学生と話したり、色々な中国人と知り合いましたが、95%の中国人が「日本のアニメは素晴らしい」と言ってくれますし、ビジネス目的の日本語習得ではない大学生以下の日本語学習者に日本に興味を持った理由や日本語を勉強し始めた理由を聞くと、「日本のアニメが好きだから」と答えてくれます。
歴史問題と漫画の力
日中の間には未だに和解できていない過去の戦争という「しこり」があり、歴史問題が度々取り沙汰されますし、
学生アンケートでも「過去の戦争で中国を侵略した国」という回答が少数ですがありました。
私は過去にお付き合いした中国人の彼女からも戦争のことで恨みつらみを言われた経験もあり、
中国に来て初めて中国人の日本の戦争に対する考え・思いを実感することとなりました。
日米関係と比較した時、日本はアメリカに原子力爆弾を落とされましたが、日本の小・中・高生に「アメリカってどんな国?」と聞いたとしても「日本に原爆を落とした国」と回答する学生は皆無でしょう。
この日本人のアメリカに対する考えと、中国人の日本に対する考えの違いに当時非常に驚いたことを記憶しています。
アンケートは10年前とは言え既に半世紀以上経っているとは言え、被害者側である中国人の気持ちは日本人が思っているものとは違うのだなと感じたものです。
※もちろん、現在までしこりが残るのは中国政府の反日教育の成果が大きいという考え方もあると思いますし、
実際に中国では今でも日本が中国を侵略している戦争ドラマを日常的に放映しています。
そのドラマの隣のチャンネルでは「ドラえもん」が放映されていたりしますが(笑)
アニメ・漫画は日中を友好的に結びつける最大の宝物
少し話が逸れましたが、こうのような背景がある中国であっても中国人が日本に好印象を持つ一番の理由は「漫画・アニメ」であり、私は日中の友好に一番貢献してくれている存在は日本のアニメ・漫画であり、つまりはそれを仕事にしていらっしゃるアニメ業界・漫画業界に携わる方なのだと常々感じていました。
私は今も中国で働いている限りは、知り合う一人一人の中国人と仲良くなり、微力な影響であっても私が中国人の友達と築く友好の一票が大きな友好へとつながって欲しいと思ってはいますが、そう多数の人に影響を与えられるものではありません。
そういう意味でも漫画・アニメは多くの人に繋がり、多くの中国人が日本を好きになってくる宝なのです。
今回の事件で日本は世界友好に繋がる大きな宝を失ってしまったとも言え、惜しくて惜しくてたまりません。