海外勤務 現地採用という選択!

駐在員と現地採用

海外で働いている日本人の勤務体系には「駐在員」と「現地採用」があります。

中国で現地採用4年半、駐在員6年の両方を経験した私の実体験に基づいた違いをお伝えします。

また、グローバル人材になりたいと思う若い人に向けて将来の長いキャリアを考えた時に現地採用をキャリアに入れるべきなのか、

また語学留学などの効果を上げる方法などについて説明をします。

 《 駐在員 》

日本で就職(日本の本社で雇用契約を締結)し、企業の命令で海外に赴任しグループ会社などで勤務。

「メリット」

・雇用元が日本であるため日本で受けていた待遇・社会保障などはそのまま受けることが可能。

・赴任手当が支給されるため収入が日本勤務時と比べて1.2~2倍になる。

・会社が住居を用意してくれるため、家賃は不要。

・所得税は会社が負担するため所得税の支払い不要。

・子供が帯同する場合、日本人学校の学費は全額会社負担。

・日本本社勤務時よりも高い役職が与えられるため決定権があり、仕事のやりがいが高まる。

「デメリット」

・駐在員は社内で一部の選ばれた人間しか行けないため駐在員になれる確率は低い、また一般的には任期が限定されるため3~5年しかいられない。

費用のかかる駐在員を減らして現地社員に任せるのが企業の方針であり、今後も駐在員になれる確率は下がっていくと思われる。

《 現地採用 》

現地の企業と雇用契約を締結する、現地の生活水準を考えての支給になるため、途上国であればあるほど日本円換算での給料は低くなる。

中国では一般的には8,000元~15,000元がメイン。(140,000円~260,000円)

「メリット」

・自分意思で国や企業を選べるし、任期もない。

・社会人経験が十分でなくても働けるため若くして海外勤務が可能。

※但し中国の場合は近年社会人経験が浅い人材を中国政府が歓迎しないため、ビザがおりない可能性あり。

「デメリット」

・駐在員に比べて待遇が圧倒的に悪い。

特に日系企業の現地法人では顕著、   但し経験豊富な技術職人材であれば250,000元~(430,000円)以上出す会社も多数ある。

・給与以外にも「家賃手当・海外旅行保険・厚生年金・子供の学費負担・一時帰国費用負担」など駐在員にはあるものが一切ない。

・駐在員も現地採用社員も多数いる大手企業の場合、現地採用社員は地位が低い。

⇒現地採用社員の方がその国での考え方への理解が進んでいたり語学力面で駐在員より強くてもこれは変わらない。

・経歴として必ずしも重視されない。

⇒転職市場において駐在要員を募集する企業では現地採用でのキャリアより駐在員でのキャリアがある人材を重用。

《 所得面での比較 》

私が過去勤務した現地採用企業と現職の駐在企業での給料です。

《駐在員》

本社の企業規模:従業員数400名

年収:650万円 赴任手当含む

家賃25万円相当のマンションを会社が提供、子供の学費を別途全額支給。

一時帰国費用負担 ( 50万円/毎年 )

 

《現地採用》

本社の企業規模:従業員数50名

年収:200~250万円  (為替変動あり)

現地給料:8,000元  家賃手当:2,000元  日本での手当:50,000円  一時帰国費用:80,00元/年

※私の勤めていた企業の場合、少し特殊で日本本社でも少しだけ手当があり、他の現地採用より良い条件でした。

それでもこの程度です。

《 現地採用で働いている人はどんな人たちなのか?》

中国は海外でもアメリカに次ぎ日本人の多い海外都市であり、

都市別でも上海はロサンゼルスに次ぎ2位で5万人以上の長期滞在者がいるため、本当に様々な人が生活しています。

では現地採用とはどんな人が多いのでしょうか。

①20代後半~30代の女性

⇒女性を駐在員に採用する企業はかなり少ないため、日本人女性は留学経験などがあってもまず海外では働けない。

海外での勤務を強く希望する女性には現地採用しか選択肢がないため、待遇の低さを顧みず現地採用として勤務する人が多い。

 

②中国駐在を機に中国にハマってしまった中年男性

⇒もともとは駐在員として派遣されたものの、帰任を機に退職し現地に残って仕事を続ける。

中年の独身者に多いイメージ。

最近もメーカーの駐在員を辞めて日本料理屋に転職した方に会いましたが、収入は1/3になったそうです。。。

それでもメーカー勤務時に比べたら仕事が楽しくて仕方がないそうですから人生は人それぞれです。

 

③中国留学後にそのまま中国に残って働く人

⇒語学力に磨きをかけるため、或いは成長している中国にどうしても残るためなど理由は様々ですが、

留学を終え日本の大学を卒業したあとですぐ中国に戻る人もいるようです。

 

《 グローバル人材になるために現地採用での海外勤務を選ぶべきか 》

前置きが長くなりますが、以前リクルート社の方から以下の話を聞いたことがあります。

中国留学の経験があるAさん(女性)は現地就職を希望して就職活動をしていましたが、志望企業に合格することが出来ず、

いづれ中国駐在になれる企業を探して日本での採用に切り替え、ある会社の最終選考まで行きました。

但しその会社では女性に駐在させた与えた前例がなく、それを聞いた途端彼女は面接に進むことを躊躇し悩み始めた様子でした。

残された時間は少なく、最終選考に進まなければ就職浪人になってしまう瀬戸際だったようですが、

早期の現地就労を希望するAさんは最終選考に進まなかったのです。

 

《 現地採用を選ぶ上での悩みどころ 》

一般的な国内の企業では下積みを重視するため、すぐに語学を生かした業務を任せてもらえない可能性は高いと思います。

日本勤務で日常的に中国を使わない状態が続くと語学力は低下するばかりですし、年齢を重ねることで語学の吸収力も下がります。

またAさんの最終選考企業のように「女性は駐在させない」など女性が機会を得にくい社会の実情もあります。

 

「語学力をより向上することができて、女性にも開かれた社会」という点で魅力的な現地採用ですが、

ただ日本には「一般的な大学卒業後の社会人経験ルート」を外れると通常のルートに戻るのが難しいという閉鎖的な考えがあり、

海外現地採用勤務経験は「正規ルート」からは外れているため、「将来的に日本に帰国した場合に経験を企業に評価してもらえるのか?よい企業に入れるのか?」という点が心配され躊躇する人が多いのではないかと思います。

 

私も今でもこそ一般的な日本企業のサラリーマンをしていますが、大学を留年したうえに中国で日本語教師になり、現地で転職して工場で働き、そこが倒産して今の会社で普通のルートに戻った異色の経歴の持ち主です。

私はたまたま運がよく、現地採用を終えた後に転職して駐在員になることが出来ましたが、その確率は必ずしも高くありません。

 昔から海外で働きたいと考えており、また安定を重視した人生を歩むよりも人とは違っても遣り甲斐を重視してチェレンジしたいという考えが強い人間でもありました。

もしあなたが学校を卒業後に現地採用でも海外に出るのであれば私はぜひ応援したいと思いますが、

現地採用を選択することによって将来のキャリアにおいて自分を不利にしないために下記も覚えておいてください。

 

①絶対に語学力を伸ばす!ビジネスレベルの力を得る!

⇒留学経験があっても語学は使わないとすぐ忘れるものです。日本で就職した場合は下積みが長く、なかなかビジネスで語学を使わせてもらえる機会が得られず語学力が衰えてしまうことが懸念されます。

更には留学時代の環境にもよりますが、そもそも1年や2年の留学程度でそこまでの語学力がついていない場合も多いです。

ここで現地採用を選べば、最初の最初から中国語を使うことができますし、しばらく中国語力を伸ばした後で「自分以外の社員は中国人」の企業に

転職でもすれば尚更中国語に磨きがかけられます。

将来的に日本に戻って就職する道を選ぶとして、もっとも優位になれるのが語学力です。

もし勇気をもって現地採用になるのであれば、「必ず語学力を高める」と決意して現地に向かってください。

就職先の企業も日本からの電話を受けるコールセンターなどは避け、周囲を中国人ばかりにできる中国語環境を優先して選んでください。

 

②プラスアルファの強みを作る

中国語力と中国ビジネス経験以外にもう一つ、他の中国現地採用者にはない自分だけの強みを作ってください。

それはある業界における知識でも構いませんし、受注を取りまくる営業力でも構いません。

私の場合は精神的にストレスの大きかった「ストライキを乗り越え解決した経験」が面接で高く評価されてように感じています。

 

 

③20代の内に一度日本に帰る!

 現地採用で3年~5年意欲的に働いていれば、ビジネスでも通用する中国語力が身についているはずです。

ビジネスレベルの語学力と中国でのビジネスマナー及び中国人との人間関係構築ついて学んだら20代のうちに帰国し、

日本で就職しなおすことをお勧めします。

語学力はキャリアの強みとして有力だとは思いますが、現地企業で働いているとどうしても日本とは社員の教育システムが整っていなかったりして、社会人としての常識身につけれない可能性がありますし、そもそも企業は採用活動において現地採用のキャリアを軽視します。「海外駐在経験は高く評価されますが、現地採用勤務経験は評価されない」のです。

 

まだ20代であれば企業も異色経歴者を受け入れやすいですし、今後グローバル化が進む中でグローバル人材への需要の高まりも

あると思いますので、 30歳過ぎや35歳まで現地採用を続けるのではなく日本での転職のチャンスが大きい20代のうちの帰国をお勧めします。

 

《 補足 》女性にとっての現地採用

中国にいると強く感じることですが、日本は男尊女卑が強く女性がビジネスにおいて与えられるチャンスも少ないのが現状であり、

よほどの大企業でない限り女性駐在員を置かないので、女性駐在員の地位を得られるのはごく一握りだと言えます。

そういう意味で、現地採用には女性の比率が高い傾向にありますし、現地採用として働く時間も長いようです。

 

以前、友人で珍しく中小企業勤務でありながら駐在員をしている女性がいましたが、

任期を終えて本社に戻った後は「お茶くみ」などの「遣り甲斐を感じられない仕事」が多かったため退職し、

別の駐在要員を探していた企業に転職し、再度駐在員として中国に赴任しました。

 

私の会社でも女性はアシスタント扱いであり、営業でも社内の書類管理などを担当し、お客さんの前に出ることはありません。

日本にいる日本人がこの現状に違和感を感じないところが日本の問題だと思いますが、これは仕事に遣り甲斐を求める女性にとってはゆいしき問題だと思います。

ですが残念なことに、それが当たり前の日本にいても違和感を感じられないのも仕方ないことなのかもしれません。

日本の男尊女卑に気づくためという意味でも、より多くのビジネスマンが海外に出ていく必要があると思いますし、

海外に出る気概のある女性は是非帰国後も経験を生かして日本人の意識を変えていって欲しいと思います。

 

《 現地採用の女性は結局どうするのか 》

大半の方が30代になると将来の結婚などを考えて焦り出し、35歳前後で帰国し日本で就職先を探すことが多いです。

中国でも特に上海のような大都市であれば日本人は沢山いるので、出会いはいくらでもあるのですが、

下記のような現状・噂もあり、なかなか良い出会いがないと言います。

・40代後半~50代の年配の駐在員が多く、若い人が少ない。

・大都市圏では若い独身駐在員も増えているが、既婚者が多い。

・既婚者は結婚を隠して現地妻を探している人が多い。

 

ただ男性の私からすると海外で働いている女性は絶対数が少なく、日本人女性との結婚を希望する独身駐在員ばかりのため

現地採用の女性にとって必ずしも悪い環境ではないと思いましたが、女性側からするとそう簡単には進まないようです。

仕事の遣り甲斐も大切ではあるのでしょうが、やはり結婚して家庭を持ちたいと思う気持ちもあり難しい選択を迫られながら帰国していく現地採用の女性を数多くみてきました。

 

 

話がそれましたが、現地採用で海外に出ることに正規ルートを外れる不安があると思いますが、

皆さんがそれぞれの現職で前向きに働き能力を高める努力を怠らなければ道は開ける信じています。

私の前職は毎月の給料も遅配が続く会社でしたがストライキなどを乗り越え今の会社に入ることができました。今がどういう環境にあっても努力を継続することが大切な要素だと思います。

 

海外勤務を検討している方は求人情報を集めるなど情報集めから入ってみては如何でしょうか。

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見てみてください。

 

 

 

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